担保と保証の仕組み

担保や保証についての知識は、今ではビジネス社会に生きる人たちにとっては必須のものです。

マレリ向け債権を売却へ

三菱UFJ銀行が経営再建中のマレリホールディングス(旧カルソニックカンセイ)向けの貸出債権860億円程度をドイツ銀行に売却するのだそうです。

マレリ

この売却によって貸倒引当金の戻し入れ益が生じる見込みとなっており、三井住友銀行も売却を検討しているようなのですが、大手行が債権を売却してもマレリの再建計画には影響しないようですね。

コロナ禍で経営が悪化したマレリをめぐっては、東京地裁が8月に再建計画の認可を確定し、三菱UFJ銀行は約1500億円の貸出残高を抱えていたのですが、取引行は一律42%の債権カットを実施。

同行の残高は約860億円まで減っていました。

当初は、私的整理の一種である事業再生ADR裁判外紛争解決手続き)による再建を目指していたが、債権者の合意を得られずに頓挫。法的整理の一つである簡易再生手続きにより再建が進められることになっています。

マレリ、金融支援4500億円超要請

経営再建中の自動車部品大手マレリホールディングスが、東京都内で債権者会議を開き、取引先金融機関に対し、債権放棄など計4500億円超の金融支援を要請しました。

マレリ

現在の親会社の米投資ファンドKKRをスポンサーとした再生計画案も説明し、6月下旬の会合で全金融機関から承認を得ることを目指すようで、関係者によれば、再生計画案には3000人規模の人員削減をはじめとするリストラ策のほか、自動車用照明など中核事業に経営資源を集中させる収益改善策が含まれているようです。

マレリの金融支援要請を受け、主力取引先のみずほフィナンシャルグループなどは、マレリ向け債権で取り立て不能の恐れが生じたと発表し、債権額は、みずほが3885億円、三井住友トラスト・ホールディングスが767億円、りそなホールディングスが443億円、新生銀行が96億円などで、各社は必要な引き当て処理を既に実施し、2023年3月期の業績予想に変更はないと説明しています。

マレリは、私的整理の一種である事業再生ADR裁判外紛争解決手続き)で再建を目指しており、負債総額は1兆円を超える見通し。 

コロナ債権買い取り、自民提言案

自民党の金融調査会は新型コロナウイルス禍で膨らんだ中小企業の債務を軽くするために官民ファンドを活用する提言案をまとめ、地域経済活性化支援機構(REVIC)が金融機関の保有する債権を買い取る手段を盛り込んだようです。

債権

提言案は26日に開く調査会の会合で示し、5月の大型連休明けに政府へ提出することを目指し「REVICにおいて特別な支援体制を作るなど支援に万全を尽くし、地域の生活を守り抜くべきだ」と記載するようです。

これは借り入れを増やした地域交通・観光などの企業が業況の回復局面で追加の資金調達ができず事業が立ちゆかなくなってしまうケースを想定しており、REVICは地方企業の事業再生やファンドを通じた債権買い取りなどを手がけています。

政府保証が付いた資金調達枠を2兆円分持ち、この枠を使ってREVICがリスクをとって債権を買い取り、コロナ禍で打撃を受けた企業が速やかに立ち直るための環境整備を政府に求め、地方の交通や観光などの支援に特化した体制も築くよう要請します。

政府が2020年3月に始めた実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の実行額は21年末時点で官民合わせておよそ42兆円にのぼり、財政が後ろ盾となった巨額資金の投入により、21年度の倒産件数は東京商工リサーチの調べで57年ぶりの低水準となりました。

膨らんだ債務の出口への目配りも政府に要請するとのこと。