カードのタッチ決済もQRコード決済も、店舗側から見れば「レジで機械にかざしてもらえば売上が入る」という点では同じに見えます。
ですが、その売上が実際にどの会社を経由して口座に振り込まれているかまで把握して導入している店舗は、それほど多くありません。
今回、クレジットカード売上の立替入金を手がけていた全東信が破産手続きに入り、全国20万以上の加盟店で入金が止まる事態になったことは、この「間に誰が入っているか」を知らないまま決済手段を選ぶことの怖さを具体的に示しています。

カードでの支払いは、お客様がその場でカード会社から店に送金しているわけではありません。
実際には、決済代行会社が各カードブランドの売上をいったん立て替え、まとめて店舗の口座に振り込む仕組みが一般的。
全東信は、この立替入金の役割を担ってきた会社の一つでしたが、7月6日に破産手続開始決定を受けて事業を停止し、破産管財人からは未収売上金の弁済が難しいこと、同日以降のカード決済分は入金されない可能性が高いことが案内されています。
加盟店にとっては、客からは確かにカードで支払われているのに、その分のお金が自分の口座には届かないという状況となっています。
この立替入金という仕組みは、店舗側の作業を減らすために存在していて、複数のカードブランドごとに個別処理をしなくても、決済代行会社がまとめて処理し、まとめて入金してくれるからこそ、レジ業務は簡単になります。
ただしそれは同時に、その代行会社の経営状態に売上金の受け取りが左右されるということでもあります。
カード会社そのものが破綻したわけではなく、間に入っていた立替の窓口が止まっただけでも、店舗側の資金繰りには直接影響が出ますし、売上は発生しているのに手元に現金がないという状態は、家賃や仕入れの支払いが近い店舗ほど厳しい形で表れてきます。
こうした状況を受け、食団連は代替の決済手段の手配や現金対応を呼びかけており、STORESは全東信利用店舗向けに「キャッシュレス決済導入 特別相談窓口」を開設しています。
ここで押さえておきたいのは、STORESに乗り換えれば同じ問題が起きないと保証されているわけではないという点。
決済代行という役割自体は、STORESであっても他社であっても存在しており、乗り換えの際に見るべきは、サービス名の知名度ではなく、入金サイクルがどう設定されているか、立替なのか都度決済なのか、そして万が一の際に未収金がどう扱われる契約になっているかです。
自分の店がどの決済手段を使っていても、まず確認できるのは契約書や導入時の説明資料に書かれている入金の流れ。
入金までの日数、締め日、振込元の会社名が、カードブランドの名前とは別に存在しているはずです。
そこが決済代行会社の名前になっている場合、その会社が今回のように事業を止めれば、同じことが自分の店でも起こり得ます。
逆に、入金元が銀行や大手カード会社そのものであれば、間に立つ事業者の数は少なくなります。
今回の件は、どの決済手段が優れているかという話ではなく、自分の店の売上が今どの経路を通って口座に届いているのかを、一度確認しておく理由になった出来事です。

